AIカラーグレーディングの使い方|毎回2時間かけていた色補正の末路

カラーグレーディングに毎回2時間かけていた男の末路 編集ソフト

複数カメラで撮った素材の色味を、カット切り替えのたびに手動で揃える作業に、1本あたり平均2時間かけていた。式全体で使うカメラが3台になると、この作業だけで半日が溶ける。

color grading video editing monitor
Photo by Ron Lach on Pexels

AIによるカラーマッチング機能を試してから、この時間配分が変わった。

何をどこまでAIに任せているか

複数カメラの色味を基準カットに揃える「マッチング」の一次処理だけをAIに任せている。完全に自動で完成、ではなく、AIが出した結果に対して微調整を人力で加える、という流れだ。

体感としては、2時間かかっていた作業が30〜40分で「8割方揃った状態」まで持っていける。残りの2割の微調整に使う時間の方が、今は長いくらいだ。

思っていたより苦手だったこと

明暗差の大きいシーン(キャンドルサービスのような暗所と、窓からの逆光が同時に入るようなカット)では、AIのマッチング精度が急に落ちる。基準にした色味を極端な条件のカットにそのまま当てはめようとして、不自然な色被りが出たことが何度かあった。

便利な機能ほど、限界を知ってから使う方が結局早い。

具体的な作業フロー

  1. 各カメラのカットから、条件が近いもの同士でグループ分けする
  2. グループごとに基準カットを1つ決め、AIマッチングをかける
  3. 明暗差の激しいカットだけは手動で個別調整する

このグループ分けを先にやるようになってから、AIの精度が安定した。全カットを一括で放り込んで自動処理させていた頃より、むしろ工程は一段増えたが、仕上がりの安定感は段違いだ。

導入して分かったソフトごとの得意不得意

複数の編集ソフトのAIカラーマッチング機能を試したが、得意なシーンの傾向がソフトによって違う。あるソフトは屋内の暖色系シーンのマッチングが得意な一方、別のソフトは屋外の自然光シーンで安定していた。1つのソフトだけで完結させようとせず、シーンによって使い分けるようになってから、仕上がりのムラが減った。

微調整に使っている自分なりの基準

AIが出した結果をどこまで信用するかは、肌の色味を基準に判断している。人物の肌が不自然に見えていないかを最優先でチェックし、そこが合っていれば背景の多少の色ズレは許容範囲としている。全部を完璧に揃えようとすると微調整だけで時間が溶けるので、優先順位を決めておくことが結局一番の時短になる。

時短の効果は「量」でこそ効いてくる

一本の動画だけを見ると、時短効果はそこまで劇的ではない。効いてくるのは案件数をこなす繁忙期だ。月に10件を超えるような時期は、1本あたり1時間の差が、月換算で丸1日分以上の余裕になる。この余裕を、感情設計や構成の練り込みに回せるようになったのが一番の収穫だった。

具体的に使っているのはこのあたり。

クライアントへの説明の仕方も変わった

AIマッチングを導入してから、クライアントに「なぜこの色味にしたか」を説明する際の言葉も変わった。以前は感覚的な説明になりがちだったが、今は基準カットとの差分をAIが数値化してくれるおかげで、色の統一感について具体的に説明できるようになった。技術的な信頼感が伝わりやすくなったのは、想定していなかった副次的なメリットだった。

まとめ

AIカラーグレーディングは、完全な自動化ではなく「面倒な下準備を肩代わりしてくれる道具」として使うと効果が大きい。毎回のカラー調整に時間を溶かしている自覚がある人は、一度導入を検討してみる価値はあると思う。

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この記事を書いた人

映像制作歴8年、ブライダル・MV・ライブ撮影を中心にこれまで300件以上の現場に立ってきた映像クリエイター。撮影から編集まで一貫して手がけ、現場でしか分からないリアルな機材選び・編集ノウハウを発信しています。

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